こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。

 

今回の曲はスキマスイッチの「藍」
好きな人になかなか会えない、そのもどかしさから愛に対する葛藤やその正体について悶々と苦悩する様子。そんな主人公の心理描写が特徴的な曲です。

一度聴いたら忘れない耳に残るメロディ、大橋さんの柔らかな声。そこに乗せて伝えられる、誰もが一度は痛感する恋愛のもどかしさ。共感してしまいますよね。Wikipediaによると、この曲のメロディは10回ほど書き直したとのことです。スキマスイッチのお二人がこの曲にかける思いも、リスナーから名曲と支持を得ているのにも納得です。

曲中で見られる主人公の心情や気になる「藍」というタイトルの意味など、今回も詳しく歌詞を見ながらこの曲の魅力に迫っていきます。

 

 

 

楽曲情報


■スキマスイッチ「藍」 
発売日 2006年11月29日
収録アルバム 夕風ブレンド
作詞 スキマスイッチ
作曲 スキマスイッチ
編曲 スキマスイッチ
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=by_QqXecaFk




 

歌詞解釈




【Aメロ~Bメロ】苦悩とその理由






「愛」どこで誰が創造したもんなんでしょうか 難解なんだね
感情ってどこへ向かうべきもんなんでしょうか そっと教えてよ

飛ぶ鳥は大空を迷うことなく飛べるのに
いったい僕らはどこへ向かうんだろう

出典:https://www.uta-net.com/song/48825/

>「愛」どこで誰が創造したもんなんでしょうか 難解なんだね
>感情ってどこへ向かうべきもんなんでしょうか そっと教えてよ
始まりのこの2行の歌詞を見るだけで、主人公が今恋愛での悩みを抱えていることやもどかしさを感じていることがわかります。

「どこで誰が創造したもんなんでしょうか」。こんな厄介なものを誰が作ったのか?と、本来素晴らしいもののはずの愛が今の主人公にとっては難解でただ悩みの種になっているようです。

そして「そっと教えてよ」という歌詞。「そっと」というと周りにバレないように密かにというイメージがあります。つまり主人公は本来自然とわかるはずの感情の向かい先がわからなくなっていることに対して自分の感覚が正常でないことを認めていて、そしてそこに情けなさや恥じらいを感じているのかもしれません。


>飛ぶ鳥は大空を迷うことなく飛べるのに
>いったい僕らはどこへ向かうんだろう
続くBメロ。鳥が迷うことなく空を飛ぶという当たり前のこと、それと比べているのは今の二人の状態です。そこから、当然こうあるべきという理想像が崩れ今の二人が正常の状態ではないと感じている主人公の心情が伝わってきます。

鳥のように迷わず大空を飛んでいきたい、それはつまり迷うことなく二人の未来を信じたいという気持ちの表れ。愛を難解と感じ感情の向かい先がわからなくなってしまう理由は、この願いや期待が一向に現実へと近づかないことにありそうです。


【サビ】主人公の恋愛観






恋愛の成功率はね 散々でね いつだって成就しないまま
とはいえ好きになっちゃうんじゃ もう嫌になるよ
どうかいなくなれ こんなんなら存在自体よ消えちまえ
そう思ってどのくらい経つだろう
来週はいつ会えるんだろう

出典:https://www.uta-net.com/song/48825/

>恋愛の成功率はね 散々でね いつだって成就しないまま
>とはいえ好きになっちゃうんじゃ もう嫌になるよ
これまで成就せず何度も味わってきた暗い恋愛経験から、主人公は「恋愛とは成就しない願いをただ繰り返すこと」という哀しい恋愛観を持ってしまっているように感じます。

そして「もう嫌になるよ」という嘆き。これはどうせ成就しないとわかっているのにまた誰かを好きになってしまう自分に対してと、れだけ好きになってもいつだって成就しない恋愛の理不尽さのそれぞれに向けられた一言なのでしょう。

またもう少し深読みすると、「成功率はね 散々でね」ということなのでおそらくいくつかの機会の中でうまくいった経験もあるのだと思います。そのときの強烈なときめきや自分に芽ばえた幸せが、主人公の「もう嫌になるよ」を打ち砕き何度も未来を見せようとするのかもしれないですね。続く歌詞でも、主人公の哀しい恋愛観を形作っていくような場面が続きます。


>どうかいなくなれ こんなんなら存在自体よ消えちまえ
>そう思ってどのくらい経つだろう
>来週はいつ会えるんだろう
「どうかいなくなれ」この対象は何でしょうか。成就しない恋愛に何度も夢を見てしまう自分、こんな苦しみを与える今の彼女、はたまた「愛」という感情そのもの。そのいずれかもしれないし、もしかしたらそのすべてかもしれません。

  • ・感情ってどこへ向かうべきもんなんでしょうか
    ・いったい僕らはどこへ向かうんだろう

こういった歌詞から今主人公がフワフワした心理状態でいるような印象があります。なのでこのサビで憤りを感じている対象についてもただ漠然としているのかもしれません。


そして「そう思ってどのくらい経つだろう」と一度我に返るような様子から、それはいつも一時的に感じる憤りであり願ったところで叶わないということ、そして自分でも本心から望んでいることではないことなど結局変えられない現状をあらためて自覚させられているような姿が浮かびます。これも辛い現実ですよね。

そして最後につぶやく一言「来週はいつ会えるんだろう」。急に出てくるリアリティのある一言で、共感が高まりグッと曲の雰囲気に引き込まれてしまいます。誰に言うでもなくただ空中をさまようようなこの虚しい一言、おそらく多くの人が経験したことがあるのではないかと思います。


【Aメロ2~Bメロ2】現状から抜け出せないジレンマ






愛すべき人は運命的に決まってるって それが本当なら
視界に入ったものすべて受け入れてしまえばいいんだ
解っちゃいるんだよ

大通りのど真ん中を歩けるような僕じゃないから
大抵足元を気にして生きている

出典:https://www.uta-net.com/song/48825/

>愛すべき人は運命的に決まってるって それが本当なら
>視界に入ったものすべて受け入れてしまえばいいんだ
>解っちゃいるんだよ
気持ちが浮ついてうまく思考が働かないとき、頼るのはお手本のような一般論や世間の声です。「愛すべき人は運命的に決まってる」これも主人公がドラマや本などどこかで聞いたフレーズなのでしょう。

本当にそうならば自分で考える必要なんてない、ただ運を天に任せて出会う人出会う人を受け入れていけばいい。これは理想論にすがるような願いにも見えるし、苦しい今の恋愛に疲れた主人公の弱音のようにも聞こえます。更に続くBメロで、わかってはいてもそうできない理由がわかります。


>大通りのど真ん中を歩けるような僕じゃないから
>大抵足元を気にして生きている

  • 大通りのど真ん中を歩く=自信に満ちていて怖いもの知らずな様子
    足元を気にして生きる=道から外れないよう細々と堅実に進む様子

それぞれこんな意味で考えると今の主人公の心境が見えてきます。運命的な愛を疑わず誰それかまわず受け入れるほどの自信もなく今の恋愛を手放すような勇気はない。そして今の彼女との未来に向けて少しずつでも進んでいきたいという願望がある。

これが「解っちゃいるんだよ」というセリフに繋がっていて、でもそうはできないという理由になっていると感じます。


【サビ2】強がりから見えるリアルな心情






最大の問題点はね 現状じゃね どうしようもない関係だね
そのうえ会いたくなるんじゃ もう嫌になるよ
どうかいなくなれ こんなんなら存在自体よ消えちまえ
そう思ってどのくらい経つだろう

出典:https://www.uta-net.com/song/48825/

>最大の問題点はね 現状じゃね どうしようもない関係だね
>そのうえ会いたくなるんじゃ もう嫌になるよ
1番のサビでもそうですが、「~はね」「~でね」「~じゃね」など会話の様に誰かに話しかけているような歌詞が印象的です。今まで見てきたように主人公の中で今の恋愛はとても苦しいもののはずなのに「~はね」「~でね」などあくまで軽い出来事のように振る舞う様子。

このギャップが虚勢や強がりなどにも見え、よりリアルな心情を表しています。でもこれはあくまで主人公の防衛本能や気持ちを悟られないための見栄のようなもので、続く歌詞こそが隠しきれない心の叫びです。


>どうかいなくなれ こんなんなら存在自体よ消えちまえ
>そう思ってどのくらい経つだろう
「こんなんなら」とは、このまま彼女に会えないなら、恋愛がこんな辛いものならなどいくつか考えられます。1番では「どうかいなくなれ」の対象が定まっていないような印象がありました。

ただここまでの歌詞を通して見てみると、主人公の意識としては愛しさ余って憎さ百倍でやり場のない気持ちをまずは今の彼女へぶつけているのではないか感じます。でも根本にあるのは、またも恋愛のもどかしさにぶち当たっている自分であり誰かを好きになるという押さえきれない感情であり。

それがわかっているから結局最後は、「そう思ってどのくらい経つだろう」「来週はいつ会えるんだろう」と彼女に別れを告げるでもなく自分の気持ちをなぞることしかできないという辛い現実に戻ってしまうのではないでしょうか。

 

最後に





最後はサビ1とサビ2の歌詞が繰り返されエンディングへ。ここでは割愛していますが、最後のサビの歌詞の中では「存在自体"消えちまえ"」「存在自体"消してしまえ"」という変化が見られます。そしてラストを締める「ねぇ、僕らいつ会えるの?」というささやき。

ここからもわかりますがこの曲は終始、今の辛い状況を放り出してしまいたいという投げやりな感情とそれができずに今の恋愛にすがってしまう、という繰り返しが女々しい男性目線で描かれています。

またこの曲には「僕ら」という表現はあっても「君」や「あなた」など恋愛の対象を指す言葉が出てきません。この曲での投げかけはすべて主人公が自分に向けて訴えているもので、それがリスナーが誰もが体験する恋愛の苦悩を自分事として捉え一層共感を得る理由にもなっているのではないでしょうか。


最後に、ここまで歌詞を見てきた上でタイトルの「藍」という意味について考えて終わりにしたいと思います。


タイトル「藍」の意味を考察



  • 青とも緑とも紫とも言えない特有の色と、今のどっちつかずな二人の状況がかけられている
  • 藍色は暗くくすんだ青、今の主人公の心情が表されている
  • 藍の花言葉である「あなた次第」。今の状況を打開するのは自分次第であると思っている主人公の気持ちの表れ
  • 今の主人公にとっての「愛」の印象
  • 彼女の名前


他にもいろいろ考えられそうですね。曲中では具体的に「藍」の意味を示すような歌詞は出てきませんが、やはりこれまでの歌詞や色の特徴から哀愁を感じさせる意味が強いように思います。

主人公の恋愛が、今度こそ成就することを願います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

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