こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。

 

今回の曲は「sign(サイン)」
innocent world以来となる、2度目の日本レコード大賞受賞曲。

大切なこととわかっていながらも、忙しい毎日ですっかり忘れてしまっていること。
Mr.Childrenの歌はそういう形にできない部分をしっかり言葉で、音楽で気付かせてくれる大切な歌。
そして毎日を前向きにさせてくれる歌です。

オレンジデイズ主題歌でドラマの台本を読んで書き下ろされたとのことですが、今回はドラマに寄せずに一般的な日常のストーリーとして考察をしたいと思います。

主人公の気付きから二人の間で徐々にひとつになっていく誓い、そのために不可欠となるsign(サイン)、そして最後に二人が出した結論など。

今回もじっくり歌詞を掘り下げて見ていきます。

 

 

楽曲情報

■Mr.Children 「Sign」  
26th Single
B面 妄想満月/こんな風にひどく蒸し暑い日
発売日 2004年5月26日
収録アルバム I ♥ U
作詞・作曲 桜井和寿
プロデュース 小林武史
Live https://www.youtube.com/watch?v=7aJmUeLMZi4 



 

 

歌詞解釈/感想


主人公の「気付き」による始まり




届いてくれるといいな
君の分かんないところで
僕も今奏でてるよ
育たないで萎れてた
新芽みたいな音符(おもい)を
二つ重ねて鳴らすハーモニー
「ありがとう」と「ごめんね」を
繰り返して僕ら
人恋しさを積み木みたいに乗せてゆく
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l002682.html

 

この曲の中心となるのは、『君』との時間の中で主人公が得た気付き。
その気付きにより『君』への愛を再確認したり、そこに感謝や決意が表れています。

>届いてくれるといいな 君の分かんないところで
>僕も今奏でてるよ
>育たないで萎れてた新芽みたいな音符(おもい)を
>二つ重ねて鳴らすハーモニー

始まりはまず、そんな『君』へ投げかけるようなシーンから。

『君』と一定の時間を過ごしてきた中で、主人公にその「気付き」が訪れたことがわかる場面。
「育たないで萎れてた新芽みたいな音符(おもい)」からは、今までの『君』との時間に対する主人公の負い目や後悔の念が感じられます。
そして「今なら気付けるこの想いを自分も奏でている」、そう『君』に投げかけているような印象。
主人公はこの気付きによりずっと『君』が愛情を注いでくれたいたということもわかり、だから「僕"も"奏でてるよ」であり自分と『君』で「二つ重ねて鳴らすハーモニー」なのではないかと感じます。

>「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返して僕ら
>人恋しさを積み木みたいに乗せてゆく

「ありがとう」と「ごめんね」が表すのは、日常の会話や風景、二人で過ごす時間そのもの。
そしてここで言う「人恋しさ」とは、そのままの意味でも取れますが、二人で過ごす二人だけが知っている時間の中で見出すお互いの愛しい部分、愛すべき部分という見方もできます。
それを積み木みたいに乗せてゆく。
つまりはちょっとした障害で崩れてしまいそうな不安定な様子。
そこからは二人の時間を大切に慎重に、無駄にしないようにというような意志も感じられます。


過去との決別と、未来への誓い




ありふれた時間が愛しく思えたら
それは“愛の仕業”と小さく笑った
君が見せる仕草 僕に向けられてるサイン
もう何ひとつ見落とさない
そんなことを考えている
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l002682.html

 

このサビでは主人公の具体的な心境が描かれていて、A・Bメロでの気付きから変わった主人公の様子がはっきり表現されています。

>ありふれた時間が愛しく思えたら
>それは“愛の仕業”と 小さく笑った
「ありふれた時間が愛しく思えた」理由そしてその後の「愛の仕業」と微笑む描写。
繰り返しになりますが、これはすべて主人公の「気付き」からくるもの。

『君』と過ごしてきたなんてことない日常が愛しく思える。
それを「愛の仕業」と冗談混じりに微笑み合うことができる。
最高の幸せな風景ですよね。
さらに「小さく笑った」というフレーズが、深く味わうような、噛み締めるような、その表情や幸福を想像させ更に情景を際立てています。

>君が見せる仕草 僕に向けられてるサイン
>もう 何ひとつ見落とさない
>そんなことを考えている”
Aメロでの「育たないで萎れてた新芽みたいな音符(おもい)」を考えた後にこのサビを見ると、グッと内容が入ってきます。
後悔や『君』との今までの時間に対する負い目が前提にあり、そこから「君からのサインをもうなにひとつ見落とさない」という誓いに繋がる様子。
主人公が過去と決別しこれからの『君』との未来に強い誓いを立てる様子がわかる、本曲の核となる大切なシーンです。


身体でも心でもなく愛している




たまに無頓着な言葉で汚し合って
互いの未熟さに嫌気がさす
でもいつかは裸になり甘い体温に触れて
優しさを見せつけ合う
似てるけどどこか違う
だけど同じ匂い
身体でも心でもなく愛している
出典http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l002682.html:

 

サビの続きと見るか、サビで誓いを立てる前の場面に戻って見るかでも変わってきますが、この後のサビに繋がる大切な伏線となる場面。
この曲では、自分に送られる様々なサインを見逃さないという主人公の決意がテーマになっていますが、その決意に至るまでの経緯やきっかけがA・Bメロで表現されています。

>たまに無頓着な言葉で汚し合って
>互いの未熟さに嫌気がさす
>でもいつかは裸になり甘い体温に触れて
>優しさを見せつけ合う
桜井さんの歌詞らしいというか、恋人同士のリアルな描写であり誰もが共感できる日常の愛の風景。
「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返すという歌詞もそうですが、こういった二人の時間の経過が伝わる場面が充実しているため、その分サビで歌われている最も重要な部分がより響きます。

>身体でも心でもなく愛している
多くのコメントや記事に引用されているのを目にします。
矛盾していそうで、でもパッと目にしただけで溢れる愛情を感じてしまう温かい歌詞。

身体でも心でもない。
おそらく三次元的な、五感的な話ではなくもっと常識外の視点であり、およそ日常で測れる愛情を遥かに凌駕した気持ちというイメージです。
そしてこの歌詞の最も素晴らしいと感じるところは、マクロ・ミクロが同時に表現されているところ。
直感的にものすごくスケールが大きく、そのため核心がぼかされているようにも感じるし、逆にものすごく端的で、当たり前と言うかわかり切ったことを言っているようにも感じます。
この歌詞一文だけの力ではなく、曲全体の持つ雰囲気やストーリーがこの現象を作り出しているのかと思います。


一人の誓いから二人の誓いへ、共有され成長する思い




僅かだって明かりが心に灯るなら
大切にしなきゃと僕らは誓った
めぐり逢ったすべてのものから送られるサイン
もう何ひとつ見逃さない
そうやって暮らしてゆこう
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l002682.html

 

1番とのサビで大きく違うところは、その視点とサインを受け取る対象。
1番のサビでは『君』からのサインを見逃さないと心に誓った主人公の心境が描かれていましたが、今回のサビでは「僕ら」として歌われています。
また、前回は『君』→主人公へのサインでしたが、今回の対象はすべてのもの→「僕ら」。
これは何を意味しているのでしょうか。

1番から2番までに二人の間に時間の経過があるとすると、主人公が心に決めた誓いが『君』にも伝わっているということ。
それは時間の経過と共に二人の誓いとなったということではないかと考えられます。
サビの結びにも変化があり、1番で「そんなことを考えている」というあくまで主人公一人で噛み締めている様子から、「そうやって暮らしてゆこう」と『君』に語りかけ思いを共有するように発展。

主人公が『君』との時間の中で心に決めた、『君』からのサインを見落とさないという誓い。
その思いは次第に『君』に伝わり、今では二人の誓いとなるまで成長を遂げる。
曲中では、必要以上に二人が仲良く過ごすような場面やキラキラしたラブストーリーと取れるような要素はないですが、十分に幸せな時間が流れていることが伝わるサビです。


「美しさ」と「残酷さ」、時間の流れに葛藤を感じる主人公




緑道の木漏れ日が君に当たって揺れる
時間の美しさと残酷さを知る
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l002682.html

 

>緑道の木漏れ日が君に当たって揺れる
この歌詞から感じられるのは、一言でいえば「幸せの風景」。
木漏れ日に照らされ美しく演出された『君』を見て、主人公はこの時間がずっと続けばいいのにと思ったのかもしれません。
そして次の歌詞に続きます。
>時間の美しさと残酷さを知る
でも時間は無情に過ぎていくもの、そこに感じる残酷さと客観的に見た美意識とで葛藤を感じているような、どこか諦めていうような様子もうかがえます。

時間の経過により『君』との未来と向き合うことができまた自分だけのものだった誓いが二人のものとなった。
でも木漏れ日に当たって揺れる『君』を前にして、時間が止まってほしいと感じている自分もいる。
きれいな歌詞の中から、そんな主人公の迷いや気持ちの整理がつかない様子を感じ取ることができます。

そして最後を締めるサビで、その結論を出します。


二人が出した答え、大切にしたいものとは




残された時間が僕らにはあるから
大切にしなきゃと小さく笑った
君が見せる仕草 僕を強くさせるサイン
もう何ひとつ見落とさない
そうやって暮らしてゆこう
そんなことを考えている
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l002682.html

 

Cメロから、ここまで見た内容を締めくくるように最後のサビへ入ります。

A~Bメロでは過去の後悔や負い目があったり『君』との日常で些細なぶつかり合いがあり、Cメロでは時間の経過に対しての葛藤を感じる場面があり。
そういうひとつひとつがきっかけとなり二人の愛情は深まり、その繰り返しによりあの誓いがより強くなっていきます。
>残された時間が僕らにはあるから
>大切にしなきゃと 小さく笑った
ここで二人が大切にしようと思うものは、まさにこの繰り返しのことではないでしょうか。

「残された時間」という言い方も、聞き方によっては最期を連想させる悲しい響きにも取れますが、つまりはそのときまで繰り返しを続けよう、それを大切にしていこうと言う愛情表現にも感じられます。

毎日を生きる中で、これからの未来を「残された時間」と考えるとき。
それは今が永遠に続くことを願ったり、終わりがくることを信じたくない気持ちがあったり、とにかく今が大切でかけがえのない時間と思えているときです。
そんな今を過ごす二人だからこそ、「大切にしなきゃ」とあらためて再確認し、この結論にたどり着いたのだと思います。

終わりが来ることを悟りつつ幸せな今が続くことを祈るように、小さく笑いながら。


最後に




まず曲の始まりは、主人公が得た「気付き」から。
その気付きによる感謝や決意があり、ストーリーが進んでいきます。

その気付きから出した答えは、『君』からの、そしてすべてのものから送られるサインを見落とさず見逃さず生きていこうという誓い。

『君』との今までの時間に後悔の念を感じ、いつかは来る終わりに不安や恐怖を感じながらも、「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返し、優しさを見せつけ合い、身体でも心でもなく愛し合っていく。
そしてその繰り返しを経て、いつしか主人公の誓いは『君』と二人のものとなり、最後はその繰り返しも共有された誓いも残された時間の中で大切にしていこうと更に固く強いものに育っていきます。

Mr.Children特有の壮大なバラード、という演出が手伝っているところもありますが、歌詞だけを見てもとても大きなテーマ。
そして人と生きる人間誰もが考えなければいけない、大切にしなければいけないことを歌っている歌だと思います。

冒頭でも書きましたが、Mr.Childrenの歌はそういう形にできない部分をしっかり言葉で、音楽で気付かせてくれる大切な歌。
この曲からも、普段忘れてしまいそうな大切なことをしっかり感じ取ることができました。

ストレス社会の中、目まぐるしくあっという間に過ぎていく毎日ですが、周りからのサインを見逃さないように、心に余裕を持って過ごしたいですね。

最後までお読みいたき、ありがとうございました!

 

 

カバー動画

 










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