こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。

 

今回の曲は「しるし」

「14才の母」の主題歌、オリコンチャート25作連続初登場1位獲得など話題性があった1曲。
収録時間はシングル最長の7分12秒。

ジャケットでの丸くなっている桜井さんは、胎児がイメージされているとのこと。

主題歌のドラマを彷彿させる難しいテーマとも取れる曲。
ですが、丁寧な表現やはっきりと定められていない視点から色々な方向への愛を考えることもできます。

時間の経過により、終盤に向けて変わっていくものと変わらないもの、また主人公の「君」に対する愛情の深さや「しるし」が意味するものなど。
今回も詳しく歌詞を見ていきていきたいと思います。

 

 

楽曲情報

■Mr.Children 「しるし」  
29th Single
B面 ひびき/くるみ -for the Film- 幸福な食卓
発売日 2006年11月15日
収録アルバム HOME
作詞・作曲 桜井和寿
プロデュース 小林武史
MV https://www.youtube.com/watch?v=qA6a7hrpoRg 



 

 

歌詞解釈/感想


「僕」と「君」の関係、主人公の葛藤




最初からこうなることが 決まっていたみたいに
違うテンポ出刻む 鼓動を互いが聞いてる
どんな言葉を選んでも どこか嘘っぽいんだ
左脳に書いた手紙 ぐちゃぐちゃに丸めて、捨てる
心の声は 君に届くのかな? 沈黙の歌に乗って・・・
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l009454.html


まず考えたいのは、「僕」と「君」の関係。
14才の母というドラマの主題歌から親子のストーリーとしても考えられますが、素直に恋人同士の物語としても見ることができます。

例えば出だしの部分。
>最初からこうなることが 決まっていたみたいに
>違うテンポ出刻む 鼓動を互いが聞いてる
母親とお腹の中にいる赤ちゃんがそれぞれの心臓の音を聞いているようにも思えるし、抱き合っている恋人同士が左右から鳴るお互いの心臓の音を聞いている、そんな描写にも見ることができます。

終始どちらの意味にも取れるように書かれているのかもしれません。
ただ今回は主人公の一人称が「僕」であること、またところどころで見える恋愛の風景から、恋人同士のラブソングとして解釈を進めたいと思います。

>どんな言葉を選んでも どこか嘘っぽいんだ
>左脳に書いた手紙 ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる
>心の声は 君に届くのかな?沈黙の歌に乗って
自分でも言葉にできない想いを「君」に伝えたい主人公。
でも、映画に出てくるような使い古された台詞しか浮かばず、誰かの言葉を借りたような表現しかできない自分を嘆いているようです。
「ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる」「沈黙の歌に乗って」という表現からも、その温度感や祈るような心境が伝わりますね。
またこれが、違うテンポで刻む鼓動を互いが聞いてる=抱き合っているときの主人公の葛藤なら、愛しさが込み上げる主人公と、力強く抱きしめられる「君」が浮かびとてもドラマチックなシーンに感じます。


主人公と「君」の心情が描かれた重要な場面




ダーリンダーリン いろんな角度から君を見てきた
そのどれもが素晴らしくて 僕は愛を思い知るんだ
「半信半疑=傷つかない為の予防線」を
今、微妙なニュアンスで 君は示そうとしている
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l009454.html


最愛の人への呼びかけに使われる「ダーリン」
このサビでは、思わず叫んでしまったような感情的で衝動的な様子、そして言葉にならない心情が詰まった叫びのような情緒的な印象も受けます。
リスナーはこのサビに入った瞬間に、桜井さんの感情豊かな歌声やメロディと一緒に、A・Bメロで見た主人公の想いの強さを感じ取りその世界に入り込んでしまうのだと思います。

>いろんな角度から君を見てきた
>そのどれもが素晴らしくて 僕は愛を思い知るんだ
恋人の「君」だったり友達のような「君」だったり、ときには母親のような「君」だったり子供のような「君」だったり。
ケンカ相手だったり相談先の先輩だったり、心の通った同志だったり。
いろいろな役割を持つ「君」に救われている主人公。そしてのどれもが素晴らしくて、あらためて愛を思い知ります。
また、そんな完璧な「君」と出会い愛せた喜びや、自信のような含みも感じます。

>「半信半疑=傷つかない為の予防線」を
>今、微妙なニュアンスで 君は示そうとしている
この部分だけが、少し曲中で異色というか視点が違うというか、少し浮いているような印象を受けます。
まず曲中で主人公が「君」の気持ちを察する、または「君」の行動が表されている描写はこの部分のみ。

見方よっては主人公の強い想いとは釣り合わない、一歩引いているような「君」の印象とも取れます。
ただ、曲を通して「君」が主人公の想いに対して背を向けたり応じないとような場面はなく、冒頭での「違うテンポで~」の部分が抱き合っていることの比喩なのであれば見方も変わってきます。
更に「最初からこうなることが決まっていた」という二人が結ばれることを示すようなキーワードもあり、「君」の主人公への想いも確かなものと思えます。

そう考えると、この部分は些細なすれ違いであったり嘘であったり裏切りであったり、そういうどんな恋人同士でも感じるような些細な不安を「君」が感じている。
そう主人公が察した場面なのかもしれません。

または全然違う解釈で、自分の言葉で想いを伝えられない自信のなさや不安などにより、「君」からの「半信半疑=傷つかない為の予防線」を感じてしまっているだけなのかもしれないですね。


時間の経過がもたらす余裕と、ひとつの境地




「同じ顔をしてる」と 誰かが冷やかした写真
僕らは似ているのかなぁ? それとも似てきたのかなぁ?
面倒くさいって思うくらいに 真面目に向き合っていた
軽はずみだった自分を うらやましくなるほどに
心の声は誰が聞くこともない それもいい そのほうがいい
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l009454.html


>「同じ顔をしてる」と 誰かが冷やかした写真
>僕らは似ているのかなぁ? それとも似てきたのかなぁ?
ここでわかるのはある程度の時間の経過。
長いこと一緒に過ごすと顔や性格も似てくると言われますが、この場面はまさにその様子が表されています。
それだけ長い時間を一緒に過ごしてきたということ、過ごせたことに喜びを覚えているような印象。
「かなぁ?」のところも、難しい顔で首をかしげているより、微笑んで二人が並んだ写真を見つめている風景の方が似合いますよね。

>面倒くさいって思うくらいに 真面目に向き合っていた
>軽はずみだった自分を うらやましくなるほどに
ここからも一定の期間が経過していることがわかります。
軽はずみだった自分から真面目に向き合うようになった自分、これは「君」と出会う前の自分と後の自分を指しているのではないでしょうか。
出会う前の何も考えず軽率に生きていた自分を思い返して、「君」と真面目に向き合い過ごしてた毎日を「よくやってきたな」と感じているような。

>心の声は誰が聞くこともない それもいい そのほうがいい
1番では心の声が君に届くかどうかを不安に感じていましたが、ここではそれでもいい、そのほうがいいという心境に変化しています。
これは、二人で作ってきた時間が生み出した心の余裕であり、自信の表れであると感じます。
または、心の声をあえて言葉で伝えなくとも、第六感的な部分でしっかり伝わりお互いが分かり合えているというもっと質の高い思考かもしれません。


幸せに過ぎる時間と、褪せない愛情




ダーリンダーリン いろんな顔を持つ君を知ってるよ
何をして過ごしていたって 思い出して苦しくなるんだ
カレンダーに記入した いくつもの記念日より
小刻みに鮮明に僕の記憶を埋め尽くす
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l009454.html


1番~2番にかけて時間の経過を意識しながら見てみると、主人公の愛情の深さや「君」に対する褪せない想いがわかります。

>いろんな顔を持つ君を知ってるよ
>何をして過ごしていたって 思い出して苦しくなるんだ
1番のサビで見たいろいろな角度からの「君」。
今ではそのいろんな顔を知っていて、その数が増えるほどに何をしていても思い出して苦しくなってしまう。
そして続くこの歌詞。
>カレンダーに記入した いくつもの記念日より
>小刻みに鮮明に僕の記憶を埋め尽くす
いろんな顔の「君」を思い出す度、主人公の記憶は褪せることなく鮮明に上書きされ続けています。
また、他にも「君」と迎える明日がいつも新しくて、次々と新しい思い出が増えていく様子もうかがえ、愛情の深さや二人の時間が幸せに過ぎていっていることがわかります。


クライマックスで描かれる「しるし」の意味


出典:https://www.amazon.co.jp/しるし-Mr-Children/dp/B000JGWB3E



泣いたり笑ったり 不安定な想いだけど
それが君と僕のしるし
ダーリンダーリン いろんな角度から君を見てきた
共に生きれない日が来たって どうせ愛してしまうと思うんだ
ダーリンダーリン Oh My darling 
狂おしく鮮明に僕の記憶を埋めつくす
出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l009454.html


最後にタイトルでもある「しるし」というワードが初めてできてます。
>泣いたり笑ったり 不安定な想い
それは二人で過ごす時間でありその中で培う愛情であり、不安定な想いを補い合う未来であり、そこから生まれる絆であり。
「君と僕のしるし」とは、二人にしかわからない二人だけの世界であり、二人で作り出す人生そのものなのです。

極めつけはこの歌詞。
>共に生きれない日が来たって
>どうせ愛してしまうと思うんだ
例えば遠距離恋愛、例えば死別。
二人の間に何があっても、「どうせ愛してしまう」という諦め。

左脳への手紙をぐちゃぐちゃに丸めて捨て、「半信半疑=傷つかない為の予防線」を感じながら同じ時間を過ごす中でいろんな顔を持つ君を知っていく。
そしてどれだけ時間がたっても褪せることなく、小刻みに鮮明に記憶を埋め尽くし続ける「君」の存在があり、しっかり「君と僕のしるし」を見出した主人公。

その主人公が行き着いた境地、それがこの「どうせ愛してしまう」という諦めであり、これもまた二人の「しるし」なのではないかと思います。


最後に




言葉にできない想いを伝えようと葛藤する様子と、「君」をいろんな角度から見て愛しさを再確認する主人公。
そんな始まりから、時間の経過と共に自分の心境の変化や二人の間にできる思い出や絆、深まっていく愛情を感じながら少しずつ「しるし」へと向かう二人。
最後に今までを振り返るように、そして二人の未来を願うように登場する「しるし」というワード。
それは二人で作ってきた人生、幸せの形であり二人にしかわからない世界そのもの。

今回は、主人公から「君」へのずっと変わらない愛情を舞台に、二人が「しるし」を得るまでのストーリーとして見てきました。
ただ、母と子・友人や家族・戦友にライバル、その関係の数だけこの「しるし」はあり、この曲は恋人の関係に収まらない現実的だけどとてもスケールの大きなラブソングです。

「しるし」の大切さやそこから得られる強さ、そしてその数だけ豊かになる人生。
この曲から学べることは多くあります。
あらためて、誰にでも共通する共感ができる素晴らしいテーマの1曲だと感じることができました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

カバー動画

 










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