こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。

今回の曲はSEKAI NO OWARIの「RPG」。
この曲は、メンバー同士のケンカとその仲直り後にできた曲のようです。それを前提に見てみると、その様子がわかる納得の歌詞になっています。
タイトルになっている「RPG」からはドラゴンクエストなどのゲームを連想しますが、この曲でも登場する主人公と『君』が一度立ち止まりまた新しい冒険に繰り出すまでの様子が描かれていて、まさにピッタリのタイトルです。

- 海を目指して歩く
- 約束のあの場所
- “煌き”のような人生
- 街を抜け海に出たら
など、ゲームのRPGに寄せた歌詞で比喩として使われる言葉も多く出てきます。しっかり歌詞を深堀りして、それぞれが意味するものやその意味に至るまでのストーリーなどを考えていきたいと思います。
目次
楽曲情報
■SEKAI NO OWARI「RPG」
4th Single
B面 アースチャイルド/スターライトパレード -CAN'T SLEEP FANTASY NIGHT Version-
発売日 2013年5月1日
収録アルバム Tree
作詞 Fukase、Saori
作曲 Fukase
プロデュース SEKAI NO OWARI/CHRYSANTHEMUM BRIDGE
MV https://www.youtube.com/watch?v=Mi9uNu35Gmk

歌詞解釈
【サビ】孤独を噛み締めた希望的なプロローグ

出典:https://www.uta-net.com/song/145480/
前向きの気持ちに澄んだ風景。RPGというタイトル通り、これから始まる冒険の幕開けをイメージさせるプロローグです。
>怖いものなんてない 僕らはもう一人じゃない
「もう一人じゃない」という歌詞から、主人公には過去に一度一人になった経験があることがわかります。そして「怖いものなんてない」と言い聞かせるような表現からも、誰かと離れる恐怖、孤独に対する恐怖など、以前一人になったときに味わった恐怖を拭いきれていないような印象も受けます。
>空は青く澄み渡り 海を目指して歩く
ただこの後歌詞を読み進めるにつれて、過去に孤独の怖さを味わったからこそ一人ではなくなった今この歌詞のように世界がクリアに見えて、これからの毎日を希望的に捉えられてるということが次第にわかってきます。
【Aメロ】貴重な時間から浮かぶ『君』の存在

出典:https://www.uta-net.com/song/145480/
ここからがこの曲の物語の始まり。『君』との別れから、遠くで『君』に思いを届けようとする主人公の心情を表している場面であり、希望的なサビを際立たせる伏線となる場面でもあります。
>大切な何かが壊れたあの夜に
>僕は星を探して一人で歩いていた
「大切な何か」とは何でしょうか。友情や絆、二人で過ごした時間や培ってきた信頼などが妥当かと思いますが、あまりに突然の出来事でまだそれが何なのか理解できていないようにも取れるし、またはしっかり向き合うことで答えがわかることを恐れあえて漠然と考えているようにも感じます。
そして星を探して一人歩く主人公。現実を避け意識を遠くへ追いやっているような、逃げるように目線を星空へ向けている姿が想像できます。

>ペルセウス座流星群 君も見てただろうか
>僕は元気でやってるよ 君は今「ドコ」にいるの?
ペルセウス座流星群は夏の風物詩、ここでこのストーリの季節がわかります。星を探して歩いている過程でこの流星群を見つけた主人公が思うことは、「君もみてただろうか」ということ。この決まったわずかな時間しか見れない貴重な瞬間に『君』を思い出す主人公から、『君』の存在の大きさや今回の別れが二人の大切な過去の上にあるということが伝わってきます。
そして続く歌詞の「ドコ」という表現、ここはサラッと読むには少しひっかかる部分ですよね。カタカナで書かれている意図として、これには複数の意味が含まれているように感じます。物理的な『君』の居場所と「君は今何を考えているの?」という『君』の心の在り処。
ペルセウス座流星群を見たことによって始まり終わる物事の儚さやかけがえのない時間の大切さを実感した主人公が、『君』を案じ尋ねているような印象を受けます。
【Bメロ】『君』へのメッセージ

出典:https://www.uta-net.com/song/145480/
Aメロで『君』のことを考える主人公が投げかけるメッセージ。主人公と『君』には「方法」と「目的」のバランスやその価値の捉え方に違いがあり、方法にこだわり本来の目的を忘れてしまっている『君』を感じていた主人公。おそらくこれが二人が離れ離れになった原因なのではないでしょうか。
大切なものは目的であってそのための方法でなくてはないらない、主人公は『君』にそう伝えようとしますが受け入れられず口論となり、結果離れ離れになってしまう。そんないきさつが推測できます。
そして離れ離れになった今。あらためてそのことを『君』に伝えたくて、メッセージを投げかけています。ここから主人公の信念の強さや、『君』を大切に思い続けているという温かさも伝わってきます。
【Aメロ2~Bメロ2】「約束の場所」が意味するもの


大切な何かが壊れたあの夜に
僕は君を探して一人で歩いていた
あの日から僕らは一人で海を目指す
「約束のあの場所で必ずまた逢おう。」と
「世間」という悪魔に惑わされないで
自分だけが決めた「答」を思い出して

出典:https://www.uta-net.com/song/145480/
サビを挟む前に先にここの歌詞を見るとよりサビの大切さがわかるので、続けてこのAメロ2~Bメロ2を見ていきます。
先のA~Bメロでは「星」を探していましたが、ここで探していたのは「君」。この違いはこの曲を考えるにあって大切なポイント。時期は同じ「大切な何かが壊れたあの夜」ですが、「星」を探していたと感じていたあのとき、実は同じように『君』を探していたということにも気付きます。そしてその気付き感じているのは、孤独から解放され「僕らはもう一人じゃない」と悟った現在の主人公。
この物語は主人公の回想シーンからできていいて、『君』と一度離れ離れになりまた共に過ごして行くまでの心情が舞台になっています。そして離れ離れでいたあの頃を思い出し、「星」を探して歩いていたと思っても実は探していたのは『君』だったんだなと思い返しているような主人公が想像できます。

>あの日から僕らは一人で海を目指す
>「約束のあの場所で必ずまた逢おう。」と
- 一人で海を目指す
- 約束のあの場所
これもRPGのゲームに出てきそうな雰囲気のあるワードですよね。現実の二人に置き換えると、文字通り約束した特定の場所で逢おうという意味にも取れますがこれはすべて二人の心境を表しているようにも思えます。
- 一人で海を目指す=一人で自分の信念や価値観と向き合う
- 約束のあの場所=お互いを理解できたときに再会することの比喩
つまり、一度離れ離れになり一人で自分の信念や価値観としっかり向き合い、お互いを尊重し寄り添う気持ちを持てたときには必ずまた一緒の時間を過ごそう。そんな二人が成長するための決意のような表現にも捉えることができます。
>「世間」という悪魔に惑わされないで
>自分だけが決めた「答」を思い出して
前回のBメロ同様主人公から『君』へ向けたメッセージですが、ここではAメロでみた一度離れ離れになりお互いの気持ちを見つめ直すにあたって、周りの声に惑わされず自分の信念を大切にしてほしいという願いも込められているように感じます。そしてその「答」を思い出すことができれば、「約束のあの場所」でまた逢えると主人公は信じていたのではないでしょうか。
【サビ2.3~Bメロ3】「“煌めき”のような人生」と例えられる理由


空は青く澄み渡り 海を目指して歩く
怖いものなんてない 僕らはもう一人じゃない
空は青く澄み渡り 海を目指して歩く
怖くても大丈夫 僕らはもう一人じゃない
“煌めき”のような人生の中で
君に出逢えて僕は本当によかった

出典:https://www.uta-net.com/song/145480/
ここまでのA~Bメロを踏まえてこのサビを見てみると、頭のサビではわからなかったものがたくさん見えてきます。

- 離れていても主人公は『君』を感じていたこと
- 大切な何かが壊れ離れ離れになった気持ちから深い絆が生まれたこと
- 主人公が投げかけていたメッセージが『君』に届いたこと
- 自分の中にいる『君』の存在の大きさに気付いたこと
- 二人でいることで世界の見え方が大きく変わるということ
これらを強く実感した主人公は、二人でいる時間も一人でいた時間もすべてを含めた人生を「煌きのような人生」と例えています。
>“煌めき”のような人生の中で
>君に出逢えて僕は本当によかった
そしてその人生は『君』なしにしてはあり得なかったという『君』への感謝や敬意が、「君に出逢えて僕は本当によかった」という歌詞に表れているのではないでしょうか。
【サビ4】ひとつの気持ちで始まる新しい冒険


街を抜け海に出たら 次はどこを目指そうか
僕らはまた出かけよう 愛しいこの地球(せかい)を
空は青く澄み渡り 海を目指して歩く
怖いものなんてない 僕らはもう一人じゃない
空は青く澄み渡り 海を目指して歩く
怖くても大丈夫 僕らはもう一人じゃない

出典:https://www.uta-net.com/song/145480/
あくまで最後までRPG仕立て。
>街を抜け海に出たら 次はどこを目指そうか
この歌詞もこれからまた始まる新しい冒険をイメージさせ、離れていた2人の気持ちがひとつになっている印象を濃くしています。
>僕らはまた出かけよう 愛しいこの地球(せかい)を
そして主人公は最後にこの地球(せかい)が愛しいと感じるようになります。大切な何かが壊れ離れ離れになりながらも、常に『君』を感じながら約束のあの場所でまた逢うまで。この一連で主人公の中に起こった気付きや感情の起伏、価値観の変化などが「地球(せかい)」の見せ方を変えたのは言うまでもありません。
そして「僕ら」という言葉には、そのことを教えてくれた『君』との未来を願う温かい気持ちが含まれています。

ここでひとつひっかかるのが「地球(せかい)を」の助詞の部分。一般的に言うなら「地球(せかい)へ」の方がしっくりくると思います。
- 電気をつける
- ご飯を食べる
- 時計を見る
- 携帯を取る
- プレゼントをもらう
- 勇気を与える
- 気持ちを落ちつかせる
「を」という助詞は、対象のものが手元にある状態でその対象に自分の思考や行動がかかっていくときに使われます。そう考えると、主人公の言う「 愛しいこの地球(せかい)」はすでに二人の手元にあると感じていて、あとはその愛しい地球(せかい)をどう楽しもうか、どう幸せにしていこうかというどこまでも希望的な意味として『君』に投げかけているように感じます。
そしてラストのサビが繰り返されエンディングへ。ここまで見ると、空が青く澄み渡って見える理由も海を目指して歩く意味も、怖いものなんてなく僕らはもう一人じゃないと思える根拠まで、漠然としていたものが繋がり納得ができます。同じサビの繰り返しでも、その言葉の裏で動いている物語によって聞こえ方が大きく変わってきますね。
最後に

「大切な人との別れ」というありふれたテーマの上で、気持ちが離れひとつになるときに生まれる強く真っ直ぐな気持ち、そしてひとりでは絶対にその気持ちを感じることができないという気付き。
この「RPG」という曲から伝わるものは、家族や友人、恋人に同僚など、人生という冒険の中で大切な人と過ごす時間には重要な価値があるということ。そしてその冒険はひとりでは成し得ないもの。そういった日常で忘れられがちな人間愛です。
この曲の主人公のようにこの地球(せかい)を愛しく感じ、そしてそこからひとつずつ自分の幸せに気付いていけるように、大切な人との時間やそこから生まれる気付きを疎かにすることのない毎日を過ごしていきたいですね。
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