こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。

 

今回の曲はMr.Childrenの「彩り」
歌詞の中に散りばめられた日常の風景や色々な家族の形を表すMV。収録アルバム「HOME」には欠かせないキーとなるような1曲です。

普段気にも留めない日常の価値。この曲にはその価値に気付かせてくれる、そして自分の日常に意味を持つためのヒントとなるようなメッセージがたくさん込められています。

日常がモノクロに映り日々の行いを疑ってしまうシーン、その日常の本質を伝える大切な場面、「些細な生き甲斐」が成長する様子や「ただいま おかえり」という歌詞の意味。そしてこの曲全体が伝えている大きな視点から見たとても日常的で身近なメッセージ。

ひとつひとつを深堀りすることで、更にこの曲が今を生きるすべての人に寄り添った応援歌であり日常の在り方を考えさせてくれる大切な曲ということがわかってきます。

それでは、今回も詳しく歌詞を見ていきたいと思います。

 

 

 

楽曲情報


■Mr.Children「彩り」
発売日 2007年3月14日
収録アルバム HOME
作詞 桜井和寿
作曲 桜井和寿
編曲 小林武史 & Mr.Children
LIVE https://www.youtube.com/watch?v=PFLT4PFDMoo




 

歌詞解釈




【Aメロ】テーマに隠れた本音






ただ目の前に並べられた仕事を
手際よくこなしてくコーヒーを相棒にして
いいさ 誰が褒めるでもないけど
小さなプライドをこの胸に 勲章みたいに付けて

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l00a070.html

ひとりひとりの小さな行いをひとつの色と見て、それぞれの色によって世界は彩られている。それがこの曲のテーマになっています。それを前提に歌詞を見ていきたいと思います。

>ただ目の前に並べられた仕事を
>手際よくこなしてくコーヒーを相棒にして
>いいさ 誰が褒めるでもないけど
>小さなプライドをこの胸に 勲章みたいに付けて
この歌詞だけを見ると誰にも認めてもらえないけど自分のプライドだけを頼りに頑張っているような、好きでもない仕事に追われるサラリーマンのぼやきのような印象も受けますよね。

ですがこの曲に先ほどの明確なテーマがあることで、「いいさ」や「勲章みたいに」という言葉がただ投げやりなものでもひがみやぼやきなどでもなく、主人公の本心であることがわかります。その理由でありこの曲の大切なメッセージが詰まった次のサビを見ていきます。


【サビ】お互いの日常を彩る赤黄色緑






僕のした単純作業が この世界を回り回って
まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく
そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に 少ないけど 赤 黄色 緑

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l00a070.html

>僕のした単純作業が この世界を回り回って
>まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく
>そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
>モノクロの僕の毎日に 少ないけど 赤 黄色 緑
「単純作業」という歌詞から、その行いは誰かのことを考えたものや特別な意識を持ったものではなく普段から日常的に行っていること、何気なく行っていることということがわかります。

例えばそれば普段の仕事や趣味などかもしれないし誰かと何気なくした会話かもしれないし、またはふと入った店での小さな買い物かもしれません。ここで強調されているのは、その行いは本人にとってあくまで日常の中の気にもとめないワンシーンでありそのとき本人には特別な自覚がないということ。

そうした単純作業が今を生きる人の数だけあり、それらが人から人へ引き継がれ自分の知らないところで誰かの笑い声を作っていく。何かのきっかけでその幸せの連鎖に気付いた主人公は、それを些細な生き甲斐と感じるようになります。



そしてこのサビの素晴らしいところは、その効果はお互いにあると表されているというところ。「自分の小さな行いが知らない人の笑顔を作る」と周りの日常を彩りながら、それは自分の日常をも彩ると感じているところです。

例えば普段の営業活動で獲た仕事で契約先に満足のいくサービスや商品を提供する、そして自社も契約先も潤い豊かになる。このあたりは想像しやすいですが、他にも例えば何気ない友人との会話で知らない内に相手を喜ばせるような発言があり、それに勇気や自信をもらった友人はその恋人や家族にいつも以上に優しく接することができる。これも単純作業による幸せの連鎖です。

そしてその連鎖は、契約先や友人の日常だけではなく自分の日常にも彩りを加えている。主人公がそう感じているところがこのサビの素晴らしいところ。これによって先ほどのAメロで見た「いいさ」や「勲章みたいに」「誰が褒めるでもないけど」という言葉が、ただの投げやりやぼやきといったものではなく主人公の思いが込められた本音であると感じることができるのです。


【Aメロ2】日常の価値を疑う主人公の心境






今 社会とか世界のどこかで起きる
大きな出来事を取り上げて議論して
少し自分が高尚な人種になれた気がして
夜が明けて また小さな庶民

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l00a070.html

この曲はAメロで一度自分の小ささや人ひとりの弱さ無力さなどリアルな日常が描かれ、そしてそのままAメロを肯定するようなサビに繋がっていく構成になっています。それによってサビで伝えられるこの曲の伝えたいことがグッと入ってきますが、今回2番ではそのリアルな日常と向き合いその価値を疑ったり探そうとする主人公を見ることができます。

>今 社会とか世界のどこかで起きる
>大きな出来事を取り上げて議論して
>少し自分が高尚な人種になれた気がして
>夜が明けて また小さな庶民
「小さな庶民」と感じてしまうのは、誰かと大きな出来事を取り上げて議論し尊く感じられる自分と、ひとりになったときの無力でちっぽけな自分のギャップを感じてしまうから。スケールの大きな話題で高尚な人種と思えていた自分から覚めた瞬間、それは同時に主人公の感じている「日常」に引き戻された瞬間でもあります。



難しい仕事を成し遂げたときや誰かに頼られ必要とされていると感じるとき、著名人・有名人と同じ考えや共通点を見つけたときなど、自分が「何者か」になれたように思える瞬間ってありますよね。そのときは気分が高揚し心地がよく一時的に悩みや問題を忘れることができます。ただその後決まってやってくるのが、「何者でもない」と思い知らされる現実。

この主人公も同じように、夜が明けてひとりになり「また小さな庶民」を痛感します。そこに覇気はなく、引き戻された日常に対する活力も見られません。ではそのとき主人公はそんな心境だったのか、そしてどんな行動を取るのか。それが歌われている次のサビを見ていきます。


【サビ2】本質を伝える大切な場面






憧れにはほど遠くって 手を伸ばしても届かなくて
カタログは付箋したまんま ゴミ箱へと捨てるのがオチ
そして些細な生き甲斐は 時に馬鹿馬鹿しく思える
あわてて僕は彩を探す
にじんでいても 金 銀 紫

ただいま おかえり

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l00a070.html

>憧れにはほど遠くって 手を伸ばしても届かなくて
>カタログは付箋したまんま ゴミ箱へと捨てるのがオチ
カタログという単語も日常的でこの曲にぴったりですよね。このカタログは旅行や物件など今後の楽しみになるもの、もしくは資格など何かに挑戦をしようとしているものかもしれません。それらに付箋をしているということは、少なくともそのときは未来に向かって動こうという意志があったということ。そしてそのときの日常には彩りもあったのかなと考えられます。

ただその付箋をされただけのカタログも今では「ゴミ箱へ捨てるのがオチ」と考えてしまう主人公。これは目標や計画を立てたことを実行できない自分の情けなさや弱い部分が表現されているように感じます。そして「こんな自分だから憧れにはほど遠く手を伸ばしても届かない」と背中を丸めてしまっているような主人公の姿が浮かびます。



>そして些細な生き甲斐は 時に馬鹿馬鹿しく思える
そんな自己嫌悪に陥る主人公はこのようにも感じてしまいます。でもこの部分も本曲の大切なところ。繰り返しになりますが、この曲にはひとりひとりの小さな行いによって世界は彩られているというテーマが前提にあります。ですがそこには本人の理想や願いも含まれていて、実際には自分の行いがどう反映され誰の笑顔を作ったのかその結果を確認することなんてできないですよね。

主人公がここで言う「馬鹿馬鹿しく思える」というセリフには、前回のサビでは感じられていた理想や願いを信じられなくなったことによる一言。理想論やきれいごとだけでは毎日は成り立たない、そんな日常のシビアな部分をしっかり見せてくれています。頭のAメロで見たコーヒーを片手に目の前の仕事を粛々とこなしていく様子も、1番とこの2番ではその情景がまったく変わってきますね。



>あわてて僕は彩を探す
>にじんでいても 金 銀 紫
そして次に主人公が取る行動がこのサビを締める歌詞。「あわてて」とありますが、これは何に対してでしょうか。おそらくは「どうせカタログは付箋したまんまゴミ箱へ捨てるのがオチ」と考えてしまうような自分の弱った精神状態や、生き甲斐と感じていたことも馬鹿馬鹿しく思えてしまい突然毎日に意味が見出せない状態になっていることに対してです。

今回主人公がこのように感じてしまうきっかけとなっているのは、高尚な人種から小さな庶民、言い換えれば心地の良い理想世界から日常へと引き戻されたことです。この些細なことで急に日常から彩りがなくなりとても地味でつまらないものと思えてしまう主人公。



このサビでは、日常とはもともと地味でつまらないものであり、ただそんなモノクロな日常にも「些細な生き甲斐」を見つけるようと努力することで彩りを加え豊かに変えていくことができる。そんな逆説的なメッセージがあるように思います。

ただいつもそう前を向いてばかりはいられず、ときには今回の主人公のように彩りを感じられなくなるときがやってきます。そしてその日常に対する見方や考え方が行ったり来たりする様子が
>ただいま
>おかえり
と表現されているのではないでしょうか。
これは収録アルバム「HOME」にもぴったりの歌詞ですよね。


【サビ3】小さな日常へのエール






なんてことのない作業が この世界を回り回って
何処の誰かも知らない人の笑い声を作ってゆく
そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に 増やしていく 水色 オレンジ

なんてことのない作業が 回り回り回り回って
今 僕の目の前の人の笑い顔を作ってゆく
そんな確かな生き甲斐は 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に 頬が染まる 温かなピンク
増やしていく きれいな彩り

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l00a070.html

2番のサビで日常の裏側を見ることで、最後を締めるこのサビが本曲のメッセージ性を際立てます。1番サビの「些細な生き甲斐」に対して「確かな生き甲斐」、「少ないけど赤黄色緑」に対して「増やしていく水色オレンジ」。ここが大きな違いであり重要なところ。

ここまでの歌詞から、この曲は日常にある浮き沈みやその繰り返しを曲全体でも表現しているような印象を受けます。それを踏まえた上で1番と今回のサビの違う部分を見てみると、そこにはより前向きで日毎に彩りが増している様子があり、それがまるで刷り込みのようにリスナーに対して明日の活力や勇気に繋がるメッセージになっているように感じられます。

「ただいま、おかえり」を何度も何度も繰り返し、その度些細な生き甲斐は確かな生き甲斐に変わり少ない彩りもどんどん増えてその分毎日は豊かになる。この曲は、ひとりひとりの行いにより世界は彩られているという大きなテーマを歌いつつ、そんな永遠と続いていく小さな日常に対するMr.Childrenからのエールなのかもしれないですね。

 

最後に





自分を含む今を生きるひとりひとりに日々小さな行いがあり、その行いが巡り巡って世界をそして自分を彩る。この幸せの連鎖を確かな生き甲斐と感じて毎日を過ごすことができれば、もっと日常に価値も意味も生まれ豊かな毎日を過ごせそうですよね。

きれいごとと捉えてしまえばそれで終わってしまいます。でもこの曲で歌われている「ただいま」「おかえり」は意識しないところで誰にだって日々必ず起きていること、そして大切なのはそこに少しでも意識を向けること。この曲からそう教わったように感じます。

今自分が行う小さな行動の先にある誰かの幸せ、そして自分の幸せ。それをしっかり想像できることは毎日を豊かに過ごすために必要な大切なスキル。毎日がつまらなくモノクロに感じてしまうときは、ぜひこの曲をもう一度聴き直してみるのもいいかもしれません。きっと日常の価値を取り戻し、忘れていたものを思い出させてくれますよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

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