こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。

 

今回の曲はMr.Childrenの「抱きしめたい」
初々しくストレートな歌詞にクセのないきれいなメロディ、ミスチルファンには忘れられない初期を代表するラブソングですよね。

抱きしめたいという素直で純粋なタイトルとそれにちなんだ真っ直ぐな言葉たち。ボーっと聴いているだけでも心地よい気持ちになれますが、その裏には流して聴くだけでは気付けない二人の様子や風景がたくさん隠れています。

そして「抱きしめたい」というタイトルの背景や二人をつなぐ「指切りしたあの約束」、そして期待や願望から確信へと成長していく主人公の心情や二人の未来など。数多くあるラブソングの中の1曲ではなく、この曲でしか見られないストーリーが詰められています。

思わず聴き入ってしまうこの曲の魅力について、そして伝えようとしているメッセージなど。今回もじっくり歌詞を見ながら読み進めていきます。

 

 

 

楽曲情報


■Mr.Children「抱きしめたい」 
2nd Single
B面 君の事以外は何も考えられない
発売日 1992年12月1日
収録アルバム Kind of Love
作詞 桜井和寿
作曲 桜井和寿
編曲 小林武史 & Mr.Children
MV https://www.youtube.com/watch?v=pBZS0K6AUAk




 

歌詞解釈




【Aメロ~Bメロ】始まりは過去の情景から






出会った日と同じように
霧雨けむる静かな夜
目を閉じれば浮かんでくる
あの日のままの二人

人並みで溢れた街の ショウウインドウ
見とれた君がふいに つまずいたその時
受け止めた両手の ぬくもりが今でも

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l005331.html

主人公がひとり『君』のことや『君』との時間を思い出し、この後に続くサビへの助走のような役割になっているこのAメロ~Bメロ。

>出会った日と同じように
>霧雨けむる静かな夜
>目を閉じれば浮かんでくる
>あの日のままの二人
このAメロ~Bメロは、それぞれ違う場面を思い出し過去の情景に浸るシーンになっています。まずこのAメロでは出会った日のこと。神秘的でドラマチック、そしてそこに二人だけの時間・空間があることを想像させる「霧雨けむる静かな夜」という風景。この風景が頭に残ったまま曲が進むことで、曲全体の色気や雰囲気が強調されます。

『君』と出会ってから時間が経った今でも、目を閉じると出会った頃の二人が浮かび上がる。このAメロからは、今でも『君』への変わらない愛情があり、またその愛情を感じられる自分を嬉しく思っているような微笑ましい主人公の姿が想像できます。



>人並みで溢れた街の ショウウインドウ
>見とれた君がふいに つまずいたその時
>受け止めた両手の ぬくもりが今でも
続くBメロではまた別の場面の回想が見られます。桜井さんは当初この曲をクリスマスソングとしてイメージしていたとのこと。その前提もあって、今主人公が思い出しているのはクリスマスや誕生日など過去に過ごした何かの記念日のことかなと想像してしまいます。

人並みで溢れた街のショウウィンドウで素敵な洋服や靴などに見とれている『君』。気が抜けてつまづいてしまう『君』を優しく受け止める主人公。まるでドラマのワンシーンを切り取ったようなキラキラした場面ですよね。

今までの多くの思い出の中でもこの場面を思い出す主人公と、「人並みで溢れた街」や「ショウウィンドウ」というデートの場面を連想させる歌詞からも、やはりこのBメロでの出来事は過去の大切な記念日なのではないかと思います。

これらの回想によって今目の前にいない『君』への想いがこみ上がりつつ、次のサビへ続きます。


【サビ】「抱きしめたい」の背景と『君』との未来






抱きしめたい 溢れるほどの
想いがこぼれてしまう前に
二人だけの夢を胸に歩いていこう
終わった恋の心の傷跡は 僕にあずけて

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l005331.html

>抱きしめたい 溢れるほどの
>想いがこぼれてしまう前に
「溢れるほどの想い」、これはA~Bメロで見たような回想により今『君』がいないからこそ募り募っていく愛しさや慈しみ。今にもその想いがこぼれてしまいそうと感じている主人公が叫ぶように絞り出した言葉が「抱きしめたい」なのです。

>二人だけの夢を胸に歩いていこう
>終わった恋の心の傷跡は 僕にあずけて
ここで『君』についても少し知ることができます。「終わった恋の傷跡」ということは『君』はそう遠くない過去に失恋をしていて、それを主人公が傷跡と感じていることからも今の恋人である主人公にその影を見せてしまっていたのかもしれません。

ただそれを踏まえた上での「二人だけの夢を胸に歩いていこう」と『君』を勇気づけ支えようとする真っ直ぐな姿勢、そして「僕にあずけて」という優しく温かい心構え。Aメロ~Bメロの回想シーンなどで二人が培った濃い時間と、『君』への愛情がどれほど育まれてきたかが伝わるとても心温まるシーンです。



このサビでは回想が終わり現在の主人公の心境や風景が描かれていますが、ここでひとつ注目したいところがあります。A~Bメロの回想シーンでは、霧雨けむる静かな夜に二人でいる時間を感じたりウィンドウショッピング中につまづいた『君』を受け止めたときにぬくもりを感じたり、その場その場の感情に目を向けるシーンが目立ちました。

ですが現在が描かれているこのサビで主人公が言う「二人だけの夢を胸に歩いていこう」「僕あずけて」という台詞。この台詞からは『君』との未来を見据えた覚悟のような気持ちが伝わり、ただ恋愛が楽しかっただけの二人を経てこれから一緒に人生を歩いていくという次のステップに進んでいるような印象を受けます。


【Aメロ2~Bメロ2】二人をつなぐ「あの約束」






キャンドルを灯すように
そっと二人育ててきた 
形の無いこの想いは今はもう
消えはしない

震えそうな夜に声をひそめ君と
指切りしたあの約束 忘れてやしないよ
心配しないで 君だけを見ている

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l005331.html

>キャンドルを灯すように
>そっと二人育ててきた 
>形の無いこの想いは今はもう
>消えはしない
「キャンドルを灯すように」とてもロマンチックで儚さを感じるような表現ですよね。キャンドルを灯すとき、その行動は慎重になり火が消えないように優しく大切に向かい合います。主人公にとって二人の愛はそれと同じように感じられています。ここからも『君』や二人の時間を大切に思う主人公の心境が伝わりますね。

そして愛という形のない想いは、錆びたり褪せたり風化することなく残り続ける。そう二人の未来を願うような気持ちで主人公はつぶやきます。二人の愛がキャンドルというすぐに消えてしまいそうででも力強く輝くものに例えられることで、キラキラした愛情の裏に儚さや哀愁の一面が生まれます。それによりリスナーはさらにこのストーリーに現実味を覚え曲の世界に引き込まれるのだと思います。



>震えそうな夜に声をひそめ君と
>指切りしたあの約束 忘れてやしないよ
>心配しないで 君だけを見ている
前回のサビで『君』の終わった恋について触れましたが、このBメロではそんな心に傷を負った『君』を安心させようとする主人公の優しさがわかります。

もしかしたら『君』は、前回の恋で嘘や浮気など裏切られる体験をしていたのかもしれません。そして「忘れてやしないよ」「心配しないで」「君だけを見ている」など、これらの歌詞はそんな実状を知った主人公が『君』を過去のトラウマや不安から守ろうとしているメッセージなのではないでしょうか。

そう仮定すると「あの約束」とは、『君』を愛し続けることであったり将来の結婚の約束であったり、この先ずっと『君』とともに生きていくという誓いと考えるのが妥当かなと思います。



震えそうな夜に声をひそめる状況。これは色々な解釈ができそうですが、震えていたのは寒さではなく不安や恐怖などからであり、その不安の要因はおそらく前回の恋から受けた心の傷。そして主人公は今またそのときと同じように不安を感じている『君』を察して、落ち着かせるように声をひそめこの先もずっと「君だけを見ている」とあらためて未来の約束をするのです。

サビでの「僕にあずけて」というフレーズも、このBメロを具体的に見ることで重みが出てきます。


【サビ2】言葉に隠れた深い愛情と物語






もしも君が泣きたいぐらいに
傷つき肩を落とす時には
誰よりも素敵な笑顔を 探しに行こう
全てのことを受け止めていきたい
ずっと二人で

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l005331.html

ここのサビでは、よくラブソングに使われそうな言ってしまえばありきたりな言葉が並んでいます。もしかしたら、最初にこの場面だけを見るとあまり歌詞が入ってこないかもしれません。ですがここまで見た『君』や二人の未来に対する想いや、『君』に心の傷がありそれを受け入れ守ろうとする主人公の様子を知ることでこのサビがとても生きてきます。

>もしも君が泣きたいぐらいに
>傷つき肩を落とす時には
>誰よりも素敵な笑顔を 探しに行こう
『君』が泣きたいぐらいに肩を落とす時。それは2番のAメロ~Bメロで見た『君』が持つ恋の傷であったりその他の理由かもしれないですが、主人公はこの先も『君』が傷つき肩を落とす日が来ることを考えます。ここで重要なのは、主人公が今の二人だけではなくこの先将来の二人を見ているということ。

霧雨けむる静かな夜から始まりキャンドルを灯すように大切に育ててきた二人の時間、愛情に絆。それらが主人公に二人の未来を見せ想像させ、その揺るがない前提や過程があった上での「誰よりも素敵な笑顔を探しに行こう」なのです。同じ言葉でも背景や裏側の物語をイメージすることで、その意味や重みが変わってきますね。



そして次の歌詞からも、このサビがその場凌ぎの口約束や気を引くためだけの調子の良い一言などではないことが伝わります。
>全てのことを受け止めていきたい
>ずっと二人で
過去の二人の時間が確かなものであり、これからもその時間が続くことを願っているからこそのこの歌詞。

そして「ずっと二人で」という歌詞が、『君』の存在だけではなく二人が作る時間や未来なども含めて大切にしているということ。それが結果的に『君』のことやBメロにある「指切りしたあの約束」を守り続けることになるということを主人公が理解している。そんな様子を表しているように感じます。


【サビ3】確信へと変わる二人の未来






抱きしめたい 溢れるほどに
君への想いが込みあげてく
どんな時も君と肩を並べて 歩いていける
もしも君がさみしい時には
いつも僕がそばにいるから

出典:http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l005331.html

そして最後の大サビへ。楽曲の壮大なアレンジもあり、感動的でドラマチックなラストです。

>抱きしめたい 溢れるほどに
>君への想いが込みあげてく
>どんな時も君と肩を並べて
>歩いていける
ここで少し1番と最後のサビの違いを見ていきます。

  • 1番:抱きしめたい溢れるほどの想いがこぼれてしまう前に
    最後:抱きしめたい溢れるほどに君への想いが込みあげてく

    1番:二人だけの夢を胸に歩いていこう
    最後:どんな時も君と肩を並べて歩いていける


この二つのサビを見て感じるのは、想像や願望から確信への変化。溢れるほどの想いがこぼれてしまうその前に、そうなる前に抱きしめて気持ちを抑えようとする1番から、込みあげていく『君』への想いそのままに抱きしめたいと感じているサビ。

そして、「二人だけの夢を胸に歩いていこう」とまだぼんやりと未来にある二人の時間を想像し期待を込めているような1番から、「どんな時も君と肩を並べて歩いていける」と現在を見てその積み重ねによる未来を確信するサビ。



溢れる想いがこぼれてしまうことを恐れ抱きしめることでそれに対し安心や自信を得ようとする1番と、溢れてしまっても構わないから込みあげていく気持ちに素直になって抱きしめようとするサビ。「歩いていこう」という『君』への呼びかけの裏に期待や願望などが見える1番から、「歩いていける」とこれまで培った二人の時間からそれが確かなものであると確信を持っているサビ。

この二つの大きな違いは、二人の未来に対する想像や願望から確信への変化です。そしてこのラストのサビでは、ここまで見てきた二人の成長や確固たる想いに育まれるまでの物語が表されていています。

>もしも君がさみしい時には
>いつも僕がそばにいるから
それを踏まえてのこの最後を締める歌詞。この言葉の裏には二人の膨大なストーリーがあること、そしてこの言葉が持つ重みや信頼がしっかり伝わってきますね。これからの二人の幸せな未来を想像させてくれる希望的で優しいエンディングです。

 

最後に





大人になるにつれて遠くなってしまいがちな真っ直ぐで純粋な気持ち。この曲で登場するのは若く未来に溢れた二人だと思いますが、この曲は経験を積み物事の裏側や醜い部分を知り、素直な気持ちを忘れつつある大人にこそ大切な1曲なのではないかと感じました。

抱きしめたいと思う気持ちは、何かを愛し守りたいという気持ち。誰にでもこの気持ちがあり、この気持ちの裏にはそう思うに至るその人だけの物語があります。この曲はそんな忘れがちな人として大切な部分に触れてくれるような曲。



この曲の伝える真っ直ぐで純粋な気持ちの強さや大切さを感じて、一度自分の中にあるその気持ちと向き合ってみるのも良いかもしれません。そしてこの曲の主人公のように、そこからひとつまたひとつと自分の中にある幸せに気付いていきたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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