こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。


今回の曲はback numberの「花束」。
back number2枚目のシングルでCOUNT DOWN TVのエンディングテーマにも起用されていました。MVで演奏シーンと交互に映る笑ったりふてくされたりする彼女の様子から、恋愛の魅力に惹きつけられ思わず恋心をくすぐられますよね。

さらっと歌詞だけを見ると、言ってしまえばよくあるラブソングのひとつとして括られてしまうかもしれません。ただこの曲にはもっと読み取るべき壮大なテーマが隠れています。『君』の心情、まっすぐ愛することで主人公が得た気付き、そしてタイトルの「花束」の意味など。

ひとつひとつをじっくり見ていくことで、この曲にはラブソングでありながら主人公の幸せへと向かう隠れたストーリーがあることがわかってきます。それでは今回もひとつずつ読み解きながら、この曲の本質に迫っていきたいと思います。

 

 

 

楽曲情報


■back number「花束」 
2nd Single
B面 だいじなこと/半透明人間
発売日 2011年6月22日
収録アルバム スーパースター
作詞 清水依与吏
作曲 清水依与吏
編曲 back number & 島田昌典
MV https://www.youtube.com/watch?v=hmAaBAZtTiY





 

歌詞解釈




【Aメロ~Bメロ】会話に隠れた2人の心情






どう思う?これから2人でやっていけると思う?
んんどうかなぁでもとりあえずは
一緒にいたいと思ってるけど
そうだねだけどさ最後は私がフラれると思うな
んんどうかなぁでもとりあえずは
一緒にいてみようよ

浮気しても言わないでよね
知らなければ悲しくはならないでしょ
信用ないなぁ僕は僕なりに
真っ直ぐに君と向かい合いたいと思ってるよ

出典:http://j-lyric.net/artist/a04fdf2/l0269ef.html

出だしのA~Bメロでは、主人公の心の内をなるべくシリアスな雰囲気にならないよう探ろうとする『君』の様子、そしてそれを軽くあしらうように簡単な返事をする主人公という描写が見られます。ここで少し気になるのは、主人公の返事を受けた『君』の心情。欲しい回答を得られずもどかしく感じているようにも見れるし、ただ恋人同士の軽いやり取りを楽しんでいるようにも見えます。

>どう思う?これから2人でやっていけると思う?
>そうだねだけどさ最後は私がフラれると思うな
どちらにしても、これらは2人の関係や未来への不安から出てしまった言葉というより、『君』には2人の未来を作り続けていくという目的や願いがあって、そこに向けて気持ちを確かめるため、整理するための言葉のように感じられます。

そんな前向きな姿勢が伝わるから、このAメロを深刻なものではなくほっこりと可愛らしい雰囲気にとらえることができるのだと思います。『君』にとってはこの質問をすること自体に意味があって、主人公からの答えはそこまで問題ではなかったのかもしれません。


>んんどうかなぁでもとりあえずは
>一緒にいたいと思ってるけど
>んんどうかなぁでもとりあえずは
>一緒にいてみようよ
主人公もそれを理解した上で返事をしていると考えると、一見そっけなく感じるこの答えにも温かさや優しさが感じられますよね。ですが直感的にこの返事にはもう少し深い感情や心理が隠れているように思えます。その点についてはここでは細かく触れずに次へ進みます。


【サビ】自分を認めありのまま『君』を愛する主人公






僕は何回だって何十回だって
君と抱き合って手を繋いでキスをして
思い出す度にニヤけてしまうような想い出を君と作るのさ
そりゃケンカもするだろうけど
それなら何回だって何十回だって
謝るし感謝の言葉もきっと忘れないから
ごめんごめんありがとうごめんくらいの
バランスになる危険性は少し高めだけど
許してよ

出典:http://j-lyric.net/artist/a04fdf2/l0269ef.html

A~Bメロでの『君』からの確認に応えるように、それよって掘り起こされるように湧き出す愛情表現。そんな風にこのサビを見てみるとストーリーがドラマチックになります。

>僕は何回だって何十回だって
>君と抱き合って手を繋いでキスをして
>思い出す度にニヤけてしまうような想い出を君と作るのさ
もともと主人公は強い愛情を持っていたと思いますが、A~Bメロでの『君』の言葉に含まれる真意を察してあらためて深層心理を言葉にしようとしている姿を想像すると、より『君』を大切に想う気持ちが伝わってきます。

>それなら何回だって何十回だって
>謝るし感謝の言葉もきっと忘れないから
>ごめんごめんありがとうごめんくらいの
>バランスになる危険性は少し高めだけど
>許してよ
そして続く歌詞から伝わるのは、ただ大切に想うだけではなくありのままの自分で『君』と向かい合うという主人公の姿勢。背伸びをしたり理想の恋人を演じるのではなく、あくまで今ここに在る自分のまま『君』を愛するという素直な気持ちです。


今の自分を認め受け入れることを出発とすることで、本当に誰かを信頼したり愛することができるという本質に主人公は気付いていたのかもしれません。そして『君』はそんな偽りや含みのない主人公に想いを寄せていたのでしょう。

「絶対に傷つけたり悲しませたりしない」と根拠もないまま言い切られるよりも、この主人公のように今の自分にできる精一杯を素直に伝えられ方が、信頼もできて心に響きますよね。これを『君』が受け入れたとき、この2人はどちらかに依存するのではなく自立したお互いがお互いを支え合えるという理想の関係になれるのではないかと思います。


【Cメロ】まっすぐ愛することに主人公が求めたもの






今までの僕は
曲がった事ばっかだった気がするんだよ
だからせめて君のとこには
まっすぐにまっすぐに走ってくよ

出典:http://j-lyric.net/artist/a04fdf2/l0269ef.html

>今までの僕は
>曲がった事ばっかだった気がするんだよ
ここの歌詞は続く「君のとこにはまっすぐに走ってくよ」という歌詞の対比としての効果が大きく、歌詞中にも主人公の言う「曲がった事」の具体的な内容は明示されていません。なので軽く聞き流しそうになりますが、ここは曲中で唯一ネガティブな印象を受ける大切な場面ですので少し深堀していきます。

この後悔とも取れる歌詞はどこから生まれたのか、そしてこのとき主人公はどんな心理状態だったのか。それを理解するためにA~Bメロにある『君』の台詞をもう一度見てみましょう。
>どう思う?これから2人でやっていけると思う?
>そうだねだけどさ最後は私がフラれると思うな
>浮気しても言わないでよね
>知らなければ悲しくはならないでしょ

本心はどうあれ悲観的で不安を表すような『君』の言葉、それに対し主人公からの返事はどこか真剣味に欠けるような印象がありました。ですが内心では思い当たるような節もあり現実から目をそらしていた自分と向き合っていたのかもしれません。


『君』との関係以外の問題も含まれるかもしれないですが、その蓄積から生まれのが「今までの僕は曲がった事ばっかだった」という後悔であり、そしてこれは同時に有用で正しい方向に気持ちを切り替えられた瞬間とも捉えることができます。更に次の歌詞で、これがただの後悔や劣等感を背負うためだけの場面ではないことがわかります。

>だからせめて君のとこには
>まっすぐにまっすぐに走ってくよ
"だから"という接続詞は、例えば「良い点を取りたい、"だから"勉強をする」というように前の理由によって後ろの結果になるという場合に使われます。そうすると今回の場合は"だから"の前後はそれぞれどうなるでしょうか。

単純に歌詞を引用した場合だとこうなります。

  • 今までの僕は曲がった事ばっかだった、"だから"せめて君のとこにはまっすぐに走ってく

ここから掘り下げて言い換えると、このような意味としても考えられます。

  • これまでの失敗や後悔から今までは過去を蔑むことしかできなかった、"だから"せめて君をまっすぐ愛することでその過去をこれからの人生に必要なものへと変えていきたい


ここからわかるのは、これまでの過ちや失敗、『君』や他人への迷惑など自分が悪だと思っている負の感情に、『君』を純粋にまっすぐ愛することで打ち勝ちたいという主人公の心理。そして何より感じ取るべきなのは、『君』の存在によって主人公がこのような勇気を持てたということ。またひとつ人生に正しい意味を与えられたという幸せです。


【サビ2】贈り続ける「花束」の意味






僕は何回だって何十回だって
君と抱き合って手を繋いでキスをして
甘い甘いこの気持ちを二人が忘れなければ
何も問題はないじゃない
ケンカもするんだろうけど
それなら何回だって何十回だって
謝るし感謝の言葉もきっと忘れないから
君とならどんな朝も夜も夕方だって
笑い合って生きていけるんじゃないかと
思うんだよ

出典:http://j-lyric.net/artist/a04fdf2/l0269ef.html

>君とならどんな朝も夜も夕方だって
>笑い合って生きていけるんじゃないかと
>思うんだよ
1番のサビで見た、今の自分を認め受け入れた上でありのまま『君』と向かい合うという主人公の姿勢。これも大切なことですが、今回のサビでは更にその次のステップに進んだ2人を主人公が見ているような印象を受けます。

それはお互いが支え合い貢献し合い、それまで別々に歩んでいた2つの人生が少しずつひとつのものになっていくグラデーションのような風景。本当の愛を知ると人生の主語は「私」から「私たち」に変わると聞きますが、今の主人公にはまさにそれが当てはまるように思えます。

「君とならどんな朝も夜も夕方だって笑い合って生きていける」。ある程度経験を積んだ大人であれば、これは文字で見るほど簡単でないことはわかります。その行間には必ずたくさんの落胆や対立、涙も不安も孤独も潜んでいます。


でも主人公は言います。「僕は何回だって何十回だって君と抱き合って手を繋いでキスをして」、そして「何回だって何十回だって謝るし感謝の言葉もきっと忘れない」。主人公は『君』と笑い合って生きていくためにこれらが必要だと確信し、そしてこれらを『君』に送り続けることで障害を乗り越えていけると信じているのです。

結論までだいぶ長くなりましたが、これこそが『君』に贈る「花束」であり、タイトルに込められた意味なのではないでしょうか。歌詞中には「花束」という言葉は一切出てきませんが、この曲に見れる主人公から『君』に向けられる想いそのものがきっと大きな「花束」なんですよね。


【Aメロ2】シンプルで唯一無二の言葉






どう思う?これから2人でやっていけると思う?
んんどうかなぁでもとりあえずは
僕は君が好きだよ

出典:http://j-lyric.net/artist/a04fdf2/l0269ef.html

ここまで歌詞を見て主人公の心情や変化を読み取ることで、最後を締める「僕は君が好きだよ」というシンプルな一言が代わりのきかない唯一の愛の言葉に変わります。

また最後にAメロに戻って終わるというパターンの曲は数多くありますが、この曲はその構成がとても生かされています。盛り上がりのピークで終わるのではなく振り出しに戻るように最後を迎えることで、2人の物語がこれからも繰り返されていくようなイメージを持ちながら聴き終えることができます。

 

最後に





この曲で主人公は『君』との恋愛の中で大きな幸せを手に入れています。それはわかりやすい恋愛の風景だけではなくて、誰かを愛するということを知り、誰かを愛することによって周りの人や世界の見え方が変わり、人や世界の見え方の変化が自分の人生の意味も変えていくという成長。そしてその成長により更に人を愛せる自分になっていくという循環。

きっとこの主人公は、これから『君』以外にもいろいろな人にいろいろな形の花束を贈るでしょう。それは友情であったり感謝であったり信頼だったり。「曲がったことばっか」だった自分から脱して「君にまっすぐ走ってく」ことで得た勇気や自信をもって過ごす毎日が、これからの人生にたくさんの正しい意味を与え続けていくのだと思います。


人の中で生きている以上、誰もが毎日誰かにいろいろな形の花束を贈っています。相手が好きな花の場合もあれば、そうでない場合もあるかもしれません。ただ「自分が誰かに花束を贈ること」、ここだけに集中して確かな意味と正しさを感じられれば、もっと人生はシンプルで豊かなものに変わっていきます。

ラブソングでありながら、この曲からはそんな人生観も伝わるように感じました。誰かと笑い合って生きていくために何回だって何十回だって花束を贈り続ける、そしてそれは時間をかけて自分の人生に幸せとして還元される。そんな毎日となることを願っています。

最後までお読みいただいて、ありがとうございました!

 

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