こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。

 

今回の曲は大橋卓弥さんの「ありがとう」
タイトル通りこの曲から終始感じるのは感謝の気持ち。中でも今回は両親、特に母親への感謝の気持ちが取り上げられているように感じます。

主人公の置かれている環境から、自分の中の感謝や敬意に気付きそれを伝えたいと思うに至るまで。ストレートな歌詞でありながら、曲中には多くの気付きや心境の変化、そしてどんどん膨れて大きくなる「今 心からありがとう」という歌詞の重みなど、たくさんの魅力が詰まっています。

それでは詳しく歌詞を掘り下げて、この曲の魅力や伝えようとしているメッセージなどを読み解いていきたいと思います。

 

 

 

楽曲情報


■大橋卓弥「ありがとう」 
2nd Single
B面 冷たい世界/たしかなこと(VOICE×VOICE Vol.2:小田和正)
発売日 2008年4月2日
収録アルバム Drunk Monkeys
作詞 大橋卓弥
作曲 大橋卓弥
編曲 大橋卓弥、Drunk Monkeys
MV https://www.youtube.com/watch?v=pEZQ_IwvK2M




 

歌詞解釈




【Aメロ~Bメロ】日常の中で気付く母親への想い






なまぬるい風に吹かれながら 東京の空眺めてたら
遠くで暮らしてるあなたの事を ふと思い出す 元気ですか?
夢を追いかけて離れた街見送ってくれたあの春の日

出典:http://j-lyric.net/artist/a04a8b9/l00ce6c.html

>なまぬるい風に吹かれながら
>東京の空眺めてたら
「なまぬるい風」と「東京の空」という組み合わせから、人間や社会の表裏、理解できない風潮や理不尽なルールなど、そんな日常に疲れボーっとしている主人公の絵が浮かびます。

そしてそんなときに温もりを求めるように「元気ですか?」と心の中で問いかけます。その相手は、遠く離れた母親。元気ですかと問いかけながら、母親を感じることで自分を励まし気持ちを和ませているような様子も伝わります。

>夢を追いかけて離れた街
>見送ってくれたあの春の日
大橋さんのイメージから音楽での成功を夢見て上京をする若者が想像しやすいですが、そのとき優しく見送ってくれた母親の姿を思い出しホームシックのような気分になっている主人公。そして「春の日」という歌詞からも、夢や希望に溢れていたあの頃と現実を知り大人になった現在のギャップを感じているような心情がうかがえます。

 

【サビ】心の余裕から生まれる感謝の気持ち






頼りなかった僕に「後悔だけはしないで」と
優しい言葉 ぬくもり その笑顔
ずっと覚えてるよそして忘れないよ今
心からありがとう

出典:http://j-lyric.net/artist/a04a8b9/l00ce6c.html

>今 心からありがとう
ここまでは現実に疲れさえない毎日に嫌気がさしている主人公が想像できますが、サビのこの歌詞で主人公が置かれている状況の印象が変わります。おそらく主人公は、上京して必死に頑張ってある程度の成果や地位を手に入れ、少しのゆとりの上で過去を振り返っているのではないでしょうか。

今までは母親を思い出したりあらためて感謝をする余裕などなく、ただがむしゃらに目標に向かっていました。そしてある程度の結果を残しそのとき心のゆとりから生まれたものが、このサビで歌われている母親への想いです。



>優しい言葉 ぬくもり その笑顔
>ずっと覚えてるよそして忘れないよ
こういった誰かの優しく温かい部分は、何かに追われるような毎日を過ごしていたり心に余裕がないときはなかなか感じることはできません。主人公は自分が望んだものに近い結果を手に入れ一区切りが着いた状態にあり、そんな自分になれたのは優しい言葉やぬくもりをくれた母親のおかげだと、そしてそのことはずっと忘れないよと心からの感謝を表しているのです。

この曲にはひたすら母親への想いと感謝の気持ちが込められていますが、そう思えるようになった今の状況やその理由を考えることで「今 心からありがとう」という歌詞もグッと入ってきます。

 

【Aメロ2~Bメロ2】過去から教わる母親の愛情や願い






出来が悪くていつも困らせた あなたの涙何度も見た
素直になれずに罵声を浴びせた そんな僕でも愛してくれた
今になってやっとその言葉の 本当の意味にも気づきました

出典:http://j-lyric.net/artist/a04a8b9/l00ce6c.html

結婚式でも新郎から母親へよくこの曲が贈られます。この歌詞を見ると納得ができますよね。よく「手のかかる子供はかわいい」と言われますが、同じように手をかけられた子供は大人になったときに他の子供以上に愛情や恩を実感します。

>出来が悪くていつも困らせた
>あなたの涙何度も見た
>素直になれずに罵声を浴びせた
この主人公も同様に、大人になった今素直になれなかった幼い自分を思い出し、強い愛情が込み上げ感謝や敬意を表しているように感じます。



>今になってやっとその言葉の
>本当の意味にも気づきました
これまでのAメロ~サビでは、主人公が母親を思い出し、東京の空の下でありがとうとささやいているような印象です。更に今回のA~Bメロでは、その気持ちが深堀りされています。子供の頃の自分が取った行動やそのときの母親の姿などを思い浮かべ、「今 心からありがとう」の理由やそう思うようになった主人公の気持ちが表現されています。

「その言葉の本当の意味」というのは、言い換えれば自分に何を見て何を感じどう育って欲しいのか、そのためにどれくらいの愛情を注いでくれていたのか、そういった当時の母親の心情や願いにも気付くことができたということ。

自分勝手でわがままで期待に応えらない自分を卑下してしまっていたあの頃と、だからこそ今気付くことができた母親の愛情。そんな主人公の気持ちが表されている大切な場面です。

 

【サビ2】些細な一言、大切な一言






「辛くなったときはいつでも帰っておいで」と
いつも僕の味方でいてくれた
心配かけたこと 支えてくれたこと
今 心からありがとう

出典:http://j-lyric.net/artist/a04a8b9/l00ce6c.html

ここのサビでは、さらに主人公から母親への感謝の気持ちが加速します。
>「辛くなったときは
>いつでも帰っておいで」と
>いつも僕の味方でいてくれた
上京する息子を駅で見送る母親、そんな風景が浮かびます。前回サビでの「後悔だけはしないで」という歌詞同様、もしかしたら母親にとっては、息子を安心させるためにポロッと出た何てことのない一言かもしれません。

ですが主人公は、今までこの一言に支えられていたこと気が付きます。そしてどんなときでもひとりではなかった、心配し支えてくれる人がいたと、遠くの母親の存在とその愛情を更に強く自覚します。

そしてそんな気持ちからの「今 心からありがとう」。この短い言葉には何十年に渡り蓄積された言葉や感情があり、リスナーにしっかりその重みが伝わるからこそこの曲に引き込まれ共感できるのではないでしょうか。

 

【Bメロ3~サビ3】「今 心からありがとう」の意味と重み






返しても返しても返しきれない この感謝と敬意を伝えたい

頼りなかった僕も少し大人になり 今度は僕が支えていきます
そろそろいい年でしょう楽して暮らしてください
僕ならもう大丈夫だから

あなたの元に生まれ本当によかったと
今こうして胸を張って言い切れる
あなたの願うような僕になれていますか?
そんな事を考える 今 心からありがとう

出典:http://j-lyric.net/artist/a04a8b9/l00ce6c.html

このBメロからラストのサビでは、主人公が最後に想うことや伝えたいことが書き連ねられています。母親への敬意、大人になった自分を伝えると共にとこれからの恩返しの気持ち、そして「あなたの元に生まれてよかった」というこの上ない感謝と愛情。

>返しても返しても返しきれない
>この感謝と敬意を伝えたい
この曲で伝えたい核心の部分であり、次に控えるラストのサビを盛り上げるための前置きのような役割にもなっているようにも感じます。なまぬるい風に吹かれて東京の空を眺め「元気ですか?」問いかけていた始まりから、感謝や敬意が溢れ込み上げるまで、この気持ちが基盤となってストーリーは続いています。

主人公がこの強い感謝や敬意、愛情などを伝えたいと思ったきっかけはいろいろ考えられます。先にも書いたように当時自分が思っていた成功を収めそれまでの過去を振り返ったのかもしれないし、強烈な挫折を味わい壁に突き当たり本当に苦しいときに支えてくれた母親の存在を思い浮かべたのかもしれません。



どんなきっかけであっても、このラストのサビから伝わるのはとても純度の高い確かな想いです。そこには今まで生きてきた膨大な時間があり、その中には数え切れない経験やそれ以上の喜怒哀楽があり。そしてそのひとつひとつが育まれ積み木のように組み立てられて出来上がったのが、この確かな感謝や敬意の気持ちです。

>あなたの願うような僕になれていますか?
>そんな事を考える
>今 心からありがとう
「あなたの願うような僕になれていますか?」という問いかけからは、母親にもそう思っていてほしいという願いの裏返しであり、また同時に理想の息子になることでしっかり恩返しをしていきたいという意志も感じます。



そして最後を締めくくる「今 心からありがとう」。この歌詞は曲中に3回ほど登場しますが、曲を聴き歌詞を読み進めるにつれてこの言葉の重みがどんどん増していきます。その理由は、あの見送られた春の日から感謝と敬意を伝えたいと思えるようになった今までの、主人公の成長や気持ちの変化などを感じ取っているから。

無意識に聴いている曲中の言葉ひとつひとつから、そこに描かれていない感情や表情や風景など多くの要素を感じ取り、曲が進むにつれてその世界に浸かってしまうからではないかと思います。「今 心からありがとう」この言葉が持つ温かさや愛情が、そのまま曲に引き込まれる魅力になっているんですね。

 

最後に





この曲のテーマは、母親への感謝と敬意。そしてその気持ちを伝えたいと願う主人公の心情やその気持ちへの気付きなどが、そのままこの曲の魅力になっているのではないかと思います。

耳に残るメロディとあくまで歌が主役という演出でストレートな歌詞がしっかり入ってくるので、初めて聴くときでもスッと曲の雰囲気に入り込めます。それが上京した人や親元を離れて過ごしているという人はもちろん、他にもこの曲に共感できる人が多い理由ではないでしょうか。

普段忘れがちな親への感謝。ふとそれに気付いたときに、この曲を聴いてより一層素直な気持ちになるのもいいかもしれません。今を必死に生きながらも、親への感謝や敬意は常に心の中に持っておきたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

カバー動画