こんにちは。
シンガーソングライターの福島亮介です。

今回の曲はSuperflyの「愛をこめて花束を」。
Wikipediaには「越智は女性から花束を渡す時の気持ちを実感するために、自ら恋人へ小さなブーケを贈り、歌詞の制作やレコーディングに臨んだ」との記載がり、他にも恋人とのストーリーではないかという記事なども多く目にします。
ただ直感的にこの曲は家族への感謝や愛情という印象が強く、家族の元での多くの気付きがテーマになっているようにも感じました。恋人とはまた違った風景が見えてくると思うので、今回は主人公から家族へ向けた歌という解釈で進めてみたいと思います。
素晴らしい歌唱力で隠れてしまいがちですが、遠く離れて過ごす主人公が感じる家族の愛情、そして家族の元で再確認する正しいことや自分の気持ちがあります。また曲中に隠れた言葉や感情などからもたくさんの風景や心の動きを感じ取れるメッセージソングです。
聴き終えた頃に温かい気持ちになる理由は何なのか、この曲が伝えようとしていることは何なのか、じっくり歌詞を見ながら考えていきます。
目次
楽曲情報
■Superfly「愛をこめて花束を」
4th Single
B面 愛と感謝/Rhiannon
発売日 2008年2月27日
収録アルバム Superfly
作詞 越智志帆・多保孝一・いしわたり淳治
作曲 多保孝一
編曲 蔦谷好位置
MV https://www.youtube.com/watch?v=gU5oN0KVofU

歌詞解釈
【Aメロ】主人公の状況と心境がわかる始まり

出典:https://www.uta-net.com/song/60335/
しばらくの間家族の元を離れ、ひとり遠くで頑張っていた主人公。この日しばらくぶりに帰省し、家族の元で多くのしがらみから解放されるようなシーンが浮かぶ始まり。出だしの「二人で写真を撮ろう」には、この後に続く主人公の気持ちや今までの辛い経験などを踏まえた深い感情が込められています。
>あの日と同じポーズで おどけてみせて欲しい
そしてこの歌詞にも、まだ社会の裏側や人間の醜い部分も知らなかった無垢な頃の自分に戻りたい、そんな願いが込められているように感じます。そんな願いを形に残したいという気持ちからの「二人で写真を撮ろう」なのかもしれません。

そして見上げた空を自由に流れる雲と今の穏やかな自分の気持ちを重ね合わせながら、ひとつのことに気が付きます。
>キレイなものは遠くにあるからキレイなの
ここでいう「キレイなもの」とは理想や夢、小さい頃に思い描いていた憧れなど。
もしかしたら、主人公は自分の夢を追いかけて上京をしたのかもしれません。そして理想や夢と感じていた世界にどっぷりと浸かりそこで多くの挫折や苦悩を味わったことで、「キレイなもの」は遠くにある、つまり夢はあくまで夢であることで美しくあるということを自覚したのではないでしょうか。
【Bメロ】家族の元で気付く大切なこと

出典:https://www.uta-net.com/song/60335/
ここで出てくる「あなた」とは、Aメロの「二人で~」という歌詞から母親など特定の人物というイメージがもてますが、家族全体を指して「あなた」と言っているようにも感じられます。「ここ」は幼い頃の思い出の場所。子供の頃に何かの印を付けた場所かもしれないし、初めて叱られた場所かもしれません。
家族の元であの頃の自分に戻りたいと願っていた主人公は、「ここ」にもう一度来たことで一気に込み上がる気持ちに気付きます。それは温もりに包まれて育った子供の頃の記憶であったり、一人社会に出て奮闘していたときには忘れてしまっていた優しさなどの家族への想い。
そしてこの込み上げる気持ちこそ「愛」なのだと実感します。
>この込み上がる気持ちが 愛じゃないなら
>何が愛かわからないほど
この歌詞からも、幸福で平穏な時間に包まれて微笑んでいるような主人公が想像できますよね。
【サビ】家族の間に隠れた多くの言葉や感情

出典:https://www.uta-net.com/song/60335/
このサビには、主人公の感謝の気持ちだけではなく家族に対する愛情や甘えなどたくさんの言葉や感情が詰まっています。
>愛をこめて花束を 大袈裟だけど受け取って
>理由なんて訊かないでよね
花束を贈るという自分でも大袈裟と思えてしまうほどの感謝の表現や、でもその理由は訊かないで察してほしいという家族への甘えもあり。まるで父の日や母の日に自分でも思いがけず突然プレゼントをしてしまうような、子供の頃に戻っているような印象もあります。
>今だけすべて忘れて 笑わないで受けとめて
>照れていないで
そして続く歌詞からは、一方的だったとしても理解してもらえないとしても、何としてもこの気持ちを伝えたいという強い想いも感じますね。
主人公は子供の頃から家族の元を離れるまで、俗に言う「良い子」ではなかったのかもしれません。家族に迷惑をかけ悲しませ、自分でもそんな自覚があるからこそ、不器用とも一方的とも思えるような感謝の表現なのかもしれないですね。そこに人間味や家族の絆を感じ、リスナーはグッと引き込まれてしまいます。
【Aメロ2~Bメロ2】主人公にとっての「正しいこと」

出典:https://www.uta-net.com/song/60335/
ここからは少し視点が変わり、過去を振り返り自分の過ちや弱い部分を再確認するような場面が登場します。
>昨日とよく似た今日は 何気ない分かれ道を
>分かって選びそびれた 臆病のせいでしょう
>私は泣くのが得意で
>最初から慰めを当てにしてたわ
この歌詞からは、新しい一歩を踏み出す勇気が持てないところやすぐに家族や他人の助けに甘えてしまうところなど、自分の弱いところをさらけ出し後悔をしているように思いますが、次の歌詞で少し考え方が変わってきます。

>何度も間違った道 選び続けて
>正しくここに戻って来たの
最後を結ぶ「正しくここに戻って来たの」という歌詞が、過去の過ちや自分の弱い部分もそれは必要なもの・大切なものであると、影に光を射すような役割になっています。
「ここ」とは家族の元という場所としての意味とも取れますが、自分の成長を感じられる心理状態のことを指しているようにも感じます。どちらの意味にしても、自分の弱い部分から何度も間違った道を選び続けてきたが「そのおかげで」またここに戻ってくることができた、それが主人公にとっては正しいことだと思えているのです。
ただ過去を後悔するだけではなく、今主人公はそんな前向きな気持ちでいるのではないでしょうか。
【サビ2】遠くで受け取る家族からの愛情

出典:https://www.uta-net.com/song/60335/
>巡り巡る時を超え
これは何かの節目や、新しい自分に気付いたとき、または日常の不安や苦悩に耐え切れなくなったときなど様々な時間。その時々で、ふと思い出すのが母親や家族のこと。
>この心 舞い戻ってゆく
そして、遠く離れたところでひとり毎日と戦いながら、目を閉じて家族との時間を思い浮かべたりひとりではないと気持ちを強く持ったり。家族のところに心が舞い戻ることでまた明日に向かう力が湧いてきます。そして最後にはいつもこう思うのです。
>無理に描く理想より 笑い合える今日の方が
>ずっと幸せね
遠くにいてもしっかり感じている家族との絆や愛情。そして日々蓄積されていく想いや感謝が、愛をこめて贈る花束となっていくんですね。「理由なんて訊かないでよね」「笑わないで受けとめて」という歌詞にも納得です。
【Cメロ】自分の気持ちと花の色


violet, indigo, black and blue
flame, yellow, purple, sky blue,
pink, yellow green, ash, brown・・・・・・・
あなたに贈る色は・・・?

出典:https://www.uta-net.com/song/60335/
数多くの色が挙げられていますが、これは家族へ贈る花の色とも考えられるし、主人公の家族に対する想いが描かれているようにも思います。どの色にもそれぞれ良い部分があり、きっとそのどれもが家族に対する気持ちと重なっているのではないでしょうか。
>あなたに贈る色は・・・?
そしてどの色が今の心境に一番合っているのか、家族に伝えたい色は何色なのか。花屋さんで花を手に取りながらと迷っているような風景が浮かびます。
【サビ3】主人公の心情が伝わるクライマックス


巡り巡る時を超え いつもあなたの所へと
この心 舞い戻ってゆく
ありがとうも言い出せずに
甘えていた今日ここへ来るまでは
愛をこめて花束を 大袈裟だけど受け取って
理由なんて訊かないでね今だけすべて忘れて
笑わないで受けとめて
本当の私を いつまでもそばにいて

出典:https://www.uta-net.com/song/60335/
そしてそのままラストのサビへ。
>ありがとうも言い出せずに 甘えていた
>今日ここへ来るまでは
これまでは、主人公から家族に向けた感謝であったり家族から受け取る安らぎや愛情という場面が多く見られましたが、ここで初めて主人公が自分の気持ちに目を向けるシーンが出てきます。
「言い出せずに」という表現から、照れなどもあってなかなかありがとうと言葉にできなかったのかもしれません。ここは甘えることが当たり前になってしまっていた主人公が、込み上げた愛情そのままに思い切り感謝の気持ちを伝えることでその大切さを再確認しているような、この曲の中でもとても大切な場面です。

>今だけすべて忘れて 笑わないで受けとめて
>本当の私を
>いつまでもそばにいて
甘ったれな自分も弱い自分も受け止めて欲しいという願い、そしてその愛情があれば明日も明後日も強く乗り越えていける。そんな自信も感じるようなラストです。
そして最後は、「いつまでもそばにいて」と締めくくられます。家族の愛情や絆、そこから気付く大切な気持ちや自分の心境の変化など、ここまで見てきたストーリーを踏まえてこの歌詞をみるとグッとくるものがありますね。
最後に

大切な家族。頭ではわかっていても、忙しい毎日や日々のストレスからついつい気持ちがすれ違ったり一方通行になってしまうこともあります。ただ、どんな状況であれ褪せても蘇り消えることはない。この曲からはそんな家族の絆の強さや、唯一の存在であるという大切なメッセージを感じます。
日々の中からひとつふたつ生まれていく自分の幸せ。それに気付くまで誰もがたくさんのストレスやしがらみ、理不尽なルールや風潮とも戦っています。その影には、いつも家族の支えや愛情があるということを忘れずに過ごしていきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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